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行政書士のソフト比較|事件簿の法定要件で選ぶ

「行政書士 ソフト」で調べると、書類作成、図面、自動車登録、会計と、目的の違うものが一度に出てきます。この記事は、そのうち 事務所に備える帳簿(事件簿)と、その周りのお金の記録 に絞ります。

比べる基準は一つだけにします。行政書士法第9条の帳簿として使えるかどうかです。使い勝手や画面の good/bad は人によって答えが変わりますが、この点だけは条文で決まっているためです。

なお、この記事は事件簿クラウドの運営者が書いています。自社の製品も同じ基準で表に並べていますので、その前提でお読みください。

基準は行政書士法第9条にある

帳簿の義務を定めているのは行政書士法第9条です。原文は次のとおりです。

(帳簿の備付及び保存) 第九条 行政書士は、その業務に関する帳簿を備え、これに事件の名称、年月日、受けた報酬の額、依頼者の住所氏名その他都道府県知事の定める事項を記載しなければならない。 2 行政書士は、前項の帳簿をその関係書類とともに、帳簿閉鎖の時から二年間保存しなければならない。行政書士でなくなつたときも、また同様とする。

出典:行政書士法(昭和二十六年法律第四号)/e-Gov法令検索

ソフト選びに関係するのは、この条文から出てくる次の3点です。

  1. 記載事項が入ること(事件の名称/年月日/受けた報酬の額/依頼者の住所氏名)
  2. 帳簿閉鎖の時から2年間、関係書類とともに保存できること
  3. 第1項の末尾にある「その他都道府県知事の定める事項」に対応できること

3つめは全国共通ではありません。所属の行政書士会や都道府県のページで、追加の記載事項や様式が示されていないかを確認しておく必要があります。

事件簿そのものの記載事項や保存期間の考え方は、行政書士の事件簿とは?記載事項・様式・保存期間・書き方に詳しく書いています。

備えていない場合

行政書士法第23条第1項は「第九条又は第十一条の規定に違反した者は、百万円以下の罰金に処する。」と定めています。これとは別に、第14条により、この法律に違反したときは都道府県知事による懲戒(戒告、2年以内の業務の停止、業務の禁止)の対象にもなり得ます。

公式サイトで確認できたソフト(2026年9月9日時点。9月10日に1件追記)

各社の公式サイトに書かれていることだけを並べます。書かれていないことは書いていません。価格を公開ページで確認できなかったものは、金額を空欄にしています。

製品提供元価格(公式ページで確認)使う形
行政書士事件簿作成システム株式会社ワイズ公開ページに記載なしパソコンにインストール
俺の事件簿ttco.jp49,500円(税込・買い切り)パソコンにインストール
案件管理システム(事件簿管理システム)TIMsoft公開ページに記載なしパソコンにインストール
Excel・自作—表計算ソフトの費用のみ手元のファイル
行政書士HUBYDAIコンサルティング株式会社月額4,980円/名(1〜5名・税込)+初期費用30,000円ブラウザ
事件簿クラウド(本サイトの運営者)WeSales株式会社無料/月1,980円/月3,980円ブラウザ

行政書士事件簿作成システム(株式会社ワイズ)

日本行政書士会連合会の会員向けに提供されているシステムです。公式の製品FAQには、見積書・請求書・領収証の作成、データ保存先フォルダの変更、複数パソコンでのデータ共有、インボイス登録番号の登録について案内があります。

データの持ち方については、FAQに次の記述があります。

事件簿作成システムで作成したデータは、ドキュメント内の「行政書士事件簿作成システム」フォルダに保存されます。

つまり、パソコンの中のフォルダにデータが置かれる形です。価格と動作環境は、公開されている製品FAQには記載がありませんでした。 入手方法が会員向けのため、条件は所属会の会員ページでご確認ください。

出典:製品FAQ 事件簿作成システム/株式会社ワイズ

俺の事件簿

公式サイトに、法定の帳簿としての位置づけが明記されています。

行政書士法に定められた保存義務のある帳簿としての要件を満たす入力欄を用意しておりますので、そのまま行政書士事件簿として利用可能です。

価格は「販売価格・・・49,500円(税込)」と公開されています。お知らせ欄には「Windows10での正常動作を確認致しました」(2015年8月8日)の記載があります。

同サイトが挙げている、想定する困りごとの記述も参考になります。

行政書士会販売の請求書に手書きするのが面倒/案件別にExcelやWordファイルを新規作成するのが面倒/なんだかんだ事件簿(帳簿)を作っていなかった/市販の顧客管理ソフトじゃ行政書士業務には対応できない

出典:俺の事件簿

案件管理システム(TIMsoft)

「エクセルと連携して、業務アプリケーションを提供します」と掲げられている、案件管理の仕組みです。案件の進捗、立替金、預かり書類、アドレス帳、ファイル管理などが挙げられています。「Windows OS の基本機能をそのまま利用し」という記述があります。

価格は公開ページに記載がありませんでした。 無料版と有料版がある旨のみ書かれています。

出典:行政書士事務所向け、案件管理システム(事件簿管理システム)/TIMsoft

行政書士HUB(YDAIコンサルティング株式会社)

ブラウザで使うクラウド型です。公式サイトには「顧客管理・案件管理・許認可期限管理・行政書士専用書式の帳票出力」と掲げられており、機能として「マルチデバイス同時利用/自動バックアップ/期限メール通知/監査ログ」が挙げられています。許認可については「有効期限とは別に『更新準備開始』の日付」を持たせる作りだと書かれています。

価格は公開ページに記載があります。「初期費用30,000円・月額2,980円〜/名(税込)」で、「1〜5名は4,980円/名(税込)」です。一人事務所の場合は月額4,980円に初期費用30,000円が加わります。

利用の開始は「無料でご体験いただけます。お問い合わせフォームの『無料で製品体験』」と案内されており、申し込みは問い合わせ経由です。

出典:行政書士HUB

Excel・自作という選択肢

第9条は様式を定めていません。したがって Excelの自作シートでも要件は満たせます。 実際、連合会のシステムがあることを知ったうえで自作を選んでいる行政書士もいます。

必要な列がそろっているかどうかだけの問題なので、まずはこれで始めるのが最も安いやり方です。【無料DL】行政書士の事件簿Excelテンプレート(様式)に、法定項目を入れた様式を置いています。

選ぶときに条文から言えること

どれが優れているかを、公開情報だけで判定することはできません。代わりに、条文から確実に言える確認点を挙げます。

1. 記載事項の4つが入力できるか

事件の名称、年月日、受けた報酬の額、依頼者の住所氏名。請求書ソフトを流用する場合、「事件の名称」に相当する欄がないことがあります。

2. 2年後に読み出せるか

第9条第2項は保存を求めていますが、保存の方法までは定めていません。実務上の焦点は「2年間読み出せる状態を保てるか」です。

インストール型はパソコンの買い替えと故障が、クラウド型はサービスの終了と料金改定が、それぞれ効いてきます。どちらが安全ということはなく、確認する対象が違うだけです。

3. 「帳簿閉鎖」を扱えるか

保存期間の起算点は受託日ではなく帳簿閉鎖の時です。年度で区切って締められる作りになっているかを見ておくと、後の管理が楽になります。

4. 関係書類を一緒に置けるか

条文は「その関係書類とともに」と定めています。委任状、申請書の控え、官公署からの通知などをどこに置くかまで含めて考える必要があります。

まとめ

本記事の確認状況

参照した条文

内容条文
帳簿の備付け・記載事項行政書士法 第9条第1項
帳簿と関係書類の保存期間行政書士法 第9条第2項
違反したときの罰金行政書士法 第23条第1項
違反したときの懲戒行政書士法 第14条

確認先

確認できなかったこと

監修について

この記事は行政書士有資格者の監修を受けていません。条文と各社の公開情報に当たって書いていますが、実務上の判断や個別の事案への当てはめは確認されていません。また、当方は事件簿クラウドの運営者であり、中立な第三者ではありません。比較の基準を条文の一点に絞り、他社について公式サイトに書かれていないことは書かない方針で作成しています。

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