在留期限の管理|特例期間と申請期限(行政書士事務所向け)
在留期限は、建設業許可のように「5年ごと」と決まっていません。在留資格と個々の事情によって1年・3年・5年などに分かれ、依頼者ごとに満了日が違います。しかも更新が認められないと、その日から在留できなくなります。この記事では、条文で期限の扱いを確認したうえで、事務所として何をいつ管理するかを整理します。
更新は「申請しなければ」始まらない
(在留期間の更新) 第二十一条 本邦に在留する外国人は、現に有する在留資格を変更することなく、在留期間の更新を受けることができる。 2 前項の規定により在留期間の更新を受けようとする外国人は、法務省令で定める手続により、法務大臣に対し在留期間の更新を申請しなければならない。 3 前項の規定による申請があつた場合には、法務大臣は、当該外国人が提出した文書により在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当の理由があるときに限り、これを許可することができる。
(出入国管理及び難民認定法第21条)
第3項に「相当の理由があるときに限り、これを許可することができる」とあります。申請すれば通るものではなく、審査があります。ここが建設業許可の更新と大きく違う点です。
申請の期限は「在留期間の満了する日まで」
申請の手続は法務省令(施行規則)にあります。
(在留期間の更新) 第二十一条 法第二十一条第二項の規定により在留期間の更新を申請しようとする外国人は、在留期間の満了する日までに、別記第三十号の二様式による申請書一通を提出しなければならない。
(出入国管理及び難民認定法施行規則第21条第1項)
条文上の締切は満了日です。建設業許可のように「30日前まで」といった前倒しの期限は、施行規則には書かれていません。
ただし、審査には時間がかかります。満了日ぎりぎりに出すと、次に述べる特例期間の中で結論が出ず、依頼者が不安定な状態に置かれます。実務上は満了日よりかなり前に出すのが通常ですが、何か月前から受け付けるかは施行規則からは読み取れませんでした。詳細は地方出入国在留管理局にご確認ください。
申請中に満了日が来たら(特例期間・最長2か月)
申請さえ済んでいれば、審査中に満了日が来ても直ちに不法滞在にはなりません。
第二十条 6 第二項の規定による申請があつた場合(三十日以下の在留期間を決定されている者から申請があつた場合を除く。)において、その申請の時に当該外国人が有する在留資格に伴う在留期間の満了の日までにその申請に対する処分がされないときは、当該外国人は、その在留期間の満了後も、当該処分がされる時又は従前の在留期間の満了の日から二月を経過する日が終了する時のいずれか早い時までの間は、引き続き当該在留資格をもつて本邦に在留することができる。
(出入国管理及び難民認定法第20条第6項。第21条第4項により在留期間の更新の申請に準用される)
要点は3つです。
- 申請していることが前提。 申請していなければこの規定は働きません。
- 無期限ではない。 「処分がされる時」か「従前の満了日から2か月」の早いほうまでです。2か月で結論が出なければ、その先は在留できません。
- 在留期間が30日以下の人は対象外。 括弧書きで明示的に除かれています。
在留資格の変更(第20条)にも同じ規定があり、更新(第21条)には第21条第4項によって準用されています。
事務所として管理する日付
条文から出てくる日付は次のとおりです。
| 何を | いつ | 根拠 |
|---|---|---|
| 更新申請の提出 | 在留期間の満了する日まで | 入管法施行規則 第21条第1項 |
| 特例期間の終わり | 処分の日、または満了日から2か月のいずれか早いほう | 入管法 第20条第6項(第21条第4項で準用) |
管理のうえで押さえる点が3つあります。
1. 満了日は依頼者ごとに違う
建設業許可のように「5年ごと」と一律ではありません。在留カードに書かれた満了日を、依頼者ごとに1件ずつ控えるしかありません。同じ在留資格でも人によって期間が違います。
2. 「2か月」は猶予ではなく上限
第20条第6項の2か月は、申請していれば自動的にもらえる猶予ではなく、処分が出るまでの上限です。ここに寄りかかった申請計画は立てられません。満了日から逆算するのではなく、審査期間を見込んで前倒しする必要があります。
3. 在留期間が30日以下の人には特例が効かない
第20条第6項の括弧書きで除かれています。短い在留期間の依頼者は、満了日そのものが実質的な締切になります。
案内をいつ出すか
条文からは「何日前に案内すべきか」は出てきません。事務所として決める話になります。決めるときの材料は次のとおりです。
- 特例期間は最長2か月で、それを超えると在留できない
- 更新は許可されるとは限らない(第21条第3項)ため、不許可のときに動く時間が要る
- 依頼者側にも、勤務先の書類や課税証明の取得など準備の時間が要る
これらを踏まえると、満了日の直前ではなく、数か月単位の余裕を持って声をかけることになります。具体的な日数は、扱っている在留資格と地方局の審査状況によります。
事件簿クラウドでは、案件ごとに期限日を入れておくと、90日前・60日前・30日前・7日前にメールが届きます。在留期限のように依頼者ごとに日付がばらつくものは、頭で覚えず、登録した日に一緒に入れておくのが確実です。
更新のたびに事件簿へ記録する
在留期間の更新は、1年ごとに繰り返す依頼者もいます。受託するたびに事件簿への記載が必要です。
(帳簿の備付及び保存) 第九条 行政書士は、その業務に関する帳簿を備え、これに事件の名称、年月日、受けた報酬の額、依頼者の住所氏名その他都道府県知事の定める事項を記載しなければならない。
(行政書士法第9条第1項)
同じ依頼者の同じ手続でも、受託ごとに1件です。記載事項と保存期間は行政書士の事件簿とは?記載事項・保存期間・書き方を条文に沿って解説にまとめています。
まとめ
- 更新は申請しなければ始まらず、許可されるとは限らない(入管法第21条第2項・第3項)
- 申請の締切は在留期間の満了する日まで(施行規則第21条第1項)
- 申請中に満了日が来ても、処分の日か満了日から2か月の早いほうまでは在留できる(法第20条第6項)
- ただし在留期間30日以下の人はこの特例の対象外
- 満了日は依頼者ごとに違うため、在留カードの日付を1件ずつ控えるしかない
本記事の法的根拠の確認状況
参照した条文
| 内容 | 条文 |
|---|---|
| 在留期間の更新・申請・許可の要件 | 出入国管理及び難民認定法 第21条第1項・第2項・第3項 |
| 特例期間の準用 | 同 第21条第4項 |
| 申請中に満了日が来た場合(2か月・30日以下は除外) | 同 第20条第6項 |
| 更新申請の提出期限・様式 | 出入国管理及び難民認定法施行規則 第21条第1項 |
| 事件簿への記載 | 行政書士法 第9条第1項 |
確認先
- 出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)/e-Gov法令検索
- 出入国管理及び難民認定法施行規則(昭和五十六年法務省令第五十四号)/e-Gov法令検索
- 行政書士法(昭和二十六年法律第四号)/e-Gov法令検索
確認できなかったこと
- 更新申請を何か月前から受け付けるか。 施行規則第21条第1項には「在留期間の満了する日までに」としか書かれておらず、受付開始時期を定めた条文を確認できませんでした。出入国在留管理庁の運用と考えられるため、日数を書いていません。
- 在留資格ごとの在留期間(1年・3年・5年など)の一覧。 法別表と法務省令に定めがありますが、資格ごとの期間を条文から網羅的に確認できていないため、具体的な年数を書いていません。
- 標準的な審査期間。 条文に定めがなく、地方局ごとに異なるため書いていません。
- 不許可となった場合の取扱い(出国準備期間の付与など)。 条文で確認できなかったため触れていません。
- 取次者としての申請(申請取次行政書士)の要件・手続。 この記事の範囲外としました。
これらは地方出入国在留管理局にご確認ください。
監修について
この記事は行政書士有資格者の監修を受けていません。条文に当たって書いていますが、実務上の判断や個別の事案への当てはめは確認されていません。
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